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透析腎移植後の免疫抑制について

腎移植後の免疫抑制療法


全腎協情報


 移植の成績は年々良くなっていますが、その理由の一つとして免疫抑制療法の進歩があります。移植医療は、当初、拒絶反応に非常に悩まされましたが、1964年にアザチオプリン(商品名:イムラン、アザニン)が臨床化され、以後、移植医療が現実のものとして認識されるようになります。80年代にシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)ミゾリビン(プレディニン)が保険適用となり、さらに90年代から2000年代にはタクロリムス(プログラフ)やミコフェノール酸モフェチル(セルセプト)が臨床応用となり、移植成績は大幅に向上しました。また、1日1回内服のタクロリムス徐放製剤(グラセプター)が2008年に承認販売され、さらなる改善が期待されます。このように、移植における外科的主義はほぼ確立された現在、より優れた免疫抑制療法が移植医療において重要となっています。

 現在、日本の多くの施設が
①カルシニューリン阻害薬(タクロリムス/シクロスポリン)
②代謝拮抗薬(ミコフェノール酸モフェチル/ミゾリビン/アザチオプリン)
③ステロイド(メチルプレドニゾロン(メドロール)/プレドニゾロン(プレドニン)など)

3種類の免疫抑制剤による移植維持療法を行っています。
(移植手術前後や拒絶反応治療のその他の薬剤は割愛)


これらの免疫抑制剤には感染症や高血圧、脂質異常症、糖尿病など様々な副作用が起こり得ます。しかし、絶対に必要な薬剤であり、移植後は生涯にわたる永続的な内服が必要です。そのため、維持期には複数の免疫抑制剤を少量ずつ内服し補い合うようにし、さらに、副作用に対して十分な治療を行います。


また、これらの薬は血中動態維持が非常に重要なため、内服は定められた時間でして下さい。例えば、グラセプターやステロイドは1日1回朝、その他のカルシニューリン阻害薬や代謝拮抗薬は1日2回朝夕の定時に内服する、など医師の指示に従ってください。


例えばカルシニューリン阻害薬は血中濃度が大事です。血中濃度が低ければ拒絶反応を引き起こす可能性がありますが、かえって高すぎる場合は腎毒性となります。このため、外来受診時に(多くは内服前の)血中濃度測定採血を行い、こまめに調整を行なうようにしています。

在宅透析 Q&A


○在宅血液透析とは?


 在宅血液透析(以下在宅透析)は自宅に透析機械を設置し、自分自身(場合によって、介助者の助けを借りることもあります)で透析(透析装置の立ち上げから後方付け、穿刺など)を行なう方法です。腹膜透析ではありません。


○なぜ在宅透析なのですか?


 今の診療報酬の点数設定上、施設透析では一人患者あたり、月14回や1回透析5時間の所が多数を占めます。在宅透析の方が、自分の生活スタイルに合わせて時間や回数、透析量を自由に増やすことができる理想的な透析であります。透析患者の多くは高血圧、貧血、皮膚の色素沈着、かゆみ、骨・関節の痛み、レストレッグス症候群、発汗異常、胃腸の運動障害、口腔乾燥、味覚異常、食欲低下、口臭、不眠などの合併症に悩まされています。これらは透析不足が関係しているといわれています。実際に透析回数や透析時間がより多い在宅透析患者ではほとんどの合併症が改善されています。顔色や体調の良さには本当に驚かされます。なにより患者さんが喜んでくれます。


○かかる費用は?


 在宅でも通院でも血液透析が保険が適用されるので、患者が病院に支払う自己負担は変わらず、月1万円(所得によっては2万円)です。それ以外に初期費用(電気・水道工事、機械搬送)に10万~30万円程度、内装の規模により差があります。毎月の水道代・電気代に約1~2万円程度かかります。地域によっては多少、区市町村が負担してくれる場合もありますが、ほとんどは自己負担になります。医療控除の対象になりますので、主治医や税理士と一度相談してみて下さい。


○自分で穿刺するのは難しくないですか?


 自己穿刺が可能な血管かは最初に受診して頂いた際に医師が判断します。必要なトレーニングは十分繰り返し行いますので、しっかり覚えて下さい。自分に針を刺す恐怖はありますが、必ず慣れます。経験豊富なスタッフがその患者にあった穿刺方法を教えます。1回目の穿刺さえ乗り越えれば、ほとんどの患者は問題がありません。患者からは自分で刺した方が失敗も少ないし、痛くもないという声が多く聞かれます。安心して下さい。


○在宅透析のトレーニングは大変ですか?


 患者と介助者の両者が出来る必要があります。どれくらいトレーニング期間がかかるかは患者・介助者によって個人差(物覚え、トレーニングの頻度、などなど)が大きいですが、1~6ヶ月以内でトレーニングは終了します。


○クリニックへの通院は必要ですか?


 月1回必ず外来受診して頂きます。その際、血液サンプル、レントゲン、透析記録を持参して頂き、採血データの評価、透析量、内服薬の調整、ドライウェイトなどが適当かなどを判断します。注射薬は自宅で投与できないため、月1~2回施設で行う必要があります。




下肢重症化予防・下肢末梢動脈疾患指導管理加算

【全腎協情報】

下肢重症化予防の夜明け
下肢末梢動脈疾患指導管理加算
          杏林大学医学部 形成外科 大浦紀彦先生

 今年の3月、医療制度が大きく変わり「透析と足に関してのしくみ」が新設された。今まで透析患者の足病の重症化を予防することについて、下肢切断を回避し歩行し続けられることを目的とするものである。これを使う立場の透析患者のみなさんに是非、この仕組みが出来た経緯とどのようなものかについて知っていただきたい。

 2015年7月、日本下肢救済・足病学会と7つの学会が合同で秋野公造氏(参議院議員)を訪ね、下肢の重症化予防のための要望書を政府に提出した。その後、第7回日本下肢救済・足病学会(横浜)「足病治療の向上による重症化予防について」というシンポジウムを開催し、秋野氏と厚労省と学会、関連領域のオピニオンリーダーが集い、下肢重症化予防について討論しコンセンサスを得た。さらに、2016年1月20日、参議院本会議場にて秋野議員が塩崎厚労大臣に質問し、大臣より「糖尿病による足の障害などの合併症対策が重要」との回答を得た。これは極めて注目すべき発言で、厚労省が、初めて糖尿病の足病変対策について本腰をあげることを表明したわけである。これからの活動が認められ、2016年度診療報酬改定において、下肢末梢動脈疾患指導管理加算が新設された。

 これは、透析クリニックが透析患者の日頃からチェックし、血流が少ない虚血(末梢動脈疾患)がみられる人を見つけ出して、足病治療を行う病院へ紹介する、早期発見、早期治療を推進する仕組みである。足の甲で脈を取って、脈が取れないときには、血流が少ない虚血である可能性があるので、足病(末梢動脈疾患)を見つける方法、血流がいいか悪いかを、機械を使った検査で行う。ABIという血圧計を手と足につけて手と足のの血圧の比を測定する方法や、SPP(皮膚灌流圧)という足の甲や裏に、レーザープローブと血圧計をつけて皮膚の血流の強さを測定する方法などがある。今回新設された医療制度では、ABIが0.7より小さい場合、またはSPPの値が40mmHgより小さい場合、足部への血流が乏しい可能性があるので、虚血の患者は、医療スタッフから状況説明を良く聞いた後で、専門病院を紹介受診することになっている。専門病院では、実際に血管が詰まって場合、バイパス術や血管内治療(カテーテル)などの血流を改善する治療を行う必要がある。さらに、虚血によるキズがある場合は、形成外科などでキズの治療を受ける必要がある。



透析患者入院時の食事代引き上げ

【全腎協情報】

■ 入院時食事代が 1 食 260 円から 360 円へ 入院時食事代が4月から引き上げられます。これまでの 1 食 260 円(食材費)から、低所 得者(市町村民税非課税世帯)および難病、小児慢性特定疾患の患者者を除き、1 食 360 円 へ、2年後の 2018 年4月からは更に 1 食 460 円(調理費を加えた額)へ引き上げられます。 療養病床に入院する 65 歳以上の透析患者も、例外なく負担が増えることが判明しました。 全腎協は、これまでも全国の患者の声を集め、国会議員や厚労省へ負担の引上げを行わな いよう訴えてきましたが、保険財源の「適正化」と在宅患者の「公正性」を理由に、市町村 民税の課税世帯は負担が増えることとなりました。



■ 「障害者差別解消法」等が施行されました 4月1日から「障害者差別解消法」と「改正障害者雇用促進法」が施行されました。 差別解消法は、▽障害を理由に差別的取扱いや権利侵害をしてはいけない、▽社会的障壁 をとりのぞくための道理的な配慮をすること、▽国は差別や権利侵害を防止するための啓発 や知識を広めるための取り組みを行わなければならないことを定めています。 例えば、単に「透析患者(障害者)だから」という理由で求人への応募を認めなかったり、 仕事の能力を適正に評価することなく「透析患者だから」という理由で、周囲と異なる扱い をすることが禁止されます。また、事業主は、透析患者から透析のための「通院の配慮」を 求められたとき、「負担が重すぎない範囲」で対応することが義務付けられることになりま す(行政機関は法的義務、民間は努力義務)。なお、負担が重すぎるか否かについての考え 方は、合理的配慮指針(平成 27 年厚生労働省告示第 177 号)に基づき個別に判断されます。 差別解消法の理念を実現していくには、社会一人ひとりの障害に対する理解と適切な配慮 が不可欠です。対象となる障害者は、障害者手帳を持つ人だけでなく、心身に障害があり、 社会にある障壁のため日常生活や社会生活に相当な制限を受ける人になります。腎臓病患者 である私たちは、障害をもつ当事者であると同時に、何らかの困難を抱えている人に対して も、その障害を理解し、差別解消に取り組む姿勢と行動が求められていると言えます。

2016 年度「全腎協ニューズレター」第 1 号 全腎協事務局作成(2016.4.4)