4.18 塩辛さの求め方
図に示すように、蛋白摂取量(X:g/日)とカロリー摂取量(Y:kcal/日)との間には、非常に強い相関が認められた。以下に両者の相関式を示す。
Y = 16.9 X + 587.0 (1)
我々が何気なく代表的な蛋白源と考えている肉や魚にも脂肪や炭水化物は含まれており、また我々が主なカロリー源であると考えている米やパンにも無視できない量の蛋白質が含まれている。そして、我々は肉や魚から成る副食と米やパンから成る主食とをバランスよく食べるものである。したがって、蛋白摂取量とカロリー摂取量との間に強い相関がみられるのも当然のことである。
蛋白摂取量とカロリー摂取量との間に強い相関がみられるということは、蛋白摂取量は食事量の指標でもあり、したがって、蛋白摂取量を反映するnPCRは蛋白摂取量の指標であると同時に食事量の指標でもあることを示唆している。
さて、塩分摂取量を食事量で割って得られる値は、食事の塩辛さを示すと考えられる。したがって、以下の式により算出される塩分摂取量(Ina)と食事量の指標でもあるnPCRとの比も、食事の塩辛さの指標となり得ると考えられる。
Ina(g/kg/day)= {(Vw×BW/1000+ ΔBW)×Cs-Vw×BW/1000×Ce}/3/ 17/BW + 0.04 (2)
ただし、Vw(ml/kg)はWatsonらの式による透析後の体水分量を示しており、以下の式により求める。
男性:Vw = (2.447- 0.09516 Y +0.1074 H +0.3362 BW)×1000/ BW
女性:Vw = (-2.097+0.1069 H +0.2466×BW)×1000/ BW (3)
ここで、BWは定期採血をおこなった際の透析のすぐ前の透析の終了時における体重(kg)、Csは定期採血をおこなった際の透析の開始時における血清Na(ナトリウム)濃度(mEq/L)、Ceは定期採血をおこなった際の透析のすぐ前の透析の終了時における血清Na濃度(mEq/L)を示す。その他、ΔBWは定期採血をおこなった際の透析のすぐ前の透析の終了時から定期採血をおこなった際の透析の開始時までの間の体重増加量(kg)、Yは年齢(歳)、Hは身長(cm)を示している。
そこで、62名の維持透析患者の定期検査データから算出したIna/nPCRの分布を基に、食事の塩辛さの評価基準を試作した。
INa/nPCR<0.12 薄味の食事
0.12≦INa/nPCR<0.16 適切な塩辛さの食事
0.16≦INa/nPCR<0.24、かつ INa≧0.16 やや塩辛い食事
0.24≦INa/nPCR、かつ INa≧0.16 非常に塩辛い食事
この塩辛さの基準の十分な評価は、まだ行われていない。しかし、50名程度の比較的少数の維持透析患者において食生活を観察したところでは、Ina/nPCRは食事の塩辛さの有効な指標であるとの印象を受けた。
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