4.24 蛋白代謝とエネルギー代謝の接点
蛋白摂取量が減少すると、材料不足のため体蛋白質量の合成速度が低下し、その結果、体蛋白質量の合成速度よりも分解速度の方が大きくなって、体蛋白質量は減少する。つまり、蛋白栄養不良状態が出現する。
さて、糖質や脂肪の摂取量が減少すると、体内ではエネルギー不足となり、これを補うためにまず肝臓に蓄えられていたグリコーゲンが分解して血中にブドウ糖が放出され、ブドウ糖は様々な細胞に到達してエネルギー源として利用される。激しい運動の際には、筋肉のグリコーゲンがブドウ糖に分解して、これがエネルギー源として利用される。グリコーゲンの次には脂肪組織に蓄えられていた中性脂肪がエネルギー源として利用される。すなわち、中性脂肪はリパーゼ(中性脂肪分解酵素)の働きにより脂肪酸に分解され、これが血中に放出されて諸細胞に到達しエネルギー源として利用される。それと同時に、体蛋白質の一部がアミノ酸に分解されてエネルギー源として利用される。すなわち、体蛋白質が分解して生じたアミノ酸はアミノ基を離してケト酸となり、ケト酸はミトコンドリアに移行して、ブドウ糖の代わりにエネルギー源として利用される。その他、糖質や脂質の摂取量が不足している場合には、体蛋白質の分解によって生じ、血中に放出されたアミノ酸の中、アラニンが肝臓に取り込まれてブドウ糖の代わりにグルコーゲンの材料として使われる。
このようにカロリー摂取量が不足している場合には、糖質や脂肪の代わりに体蛋白質がエネルギー源として利用されるので、体蛋白質の分解が促進されて体蛋白質量が減少する。ただし、このときには、同時に体脂肪量も減少し、いわゆる著明な痩せが生じる。
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参考までに、通常は蛋白摂取量とカロリー摂取量とは比例しており、蛋白摂取量だけ、あるいはカロリー摂取量だけが減少することはまれである。すなわち、カロリー摂取量が不足している場合には、蛋白摂取量も減少しているのが普通である。
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ただし、ときに体蛋白質量のみを増やし、体脂肪量を減らしたいスポーツマンやダイエットを行っている単純肥満の患者が、特殊食として高蛋白・低カロリー食を摂ったり、保存期腎不全患者や非代償性肝不全患者が治療食として低蛋白・高カロリー食を摂っていることはある。 |
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