4.1  標準化蛋白異化率(nPCR )

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4.1  標準化蛋白異化率(nPCR )
1.標準化蛋白異化率(nPCR )の定義
nPCR (normalized protein catabolic rate)と は、標準化蛋白異化率の省略形であり、体蛋白質の異化速度を示す。さて、患者の体蛋白質総量が一定であるなら、体蛋白異化速度は体蛋白合成速度に等しく、体蛋白合成速度は蛋白摂取量に等しい。従って、nPCRは蛋白摂取量の指標となる。
 
 
2.標準化蛋白異化率(nPCR )と蛋白摂取量の関係
体蛋白質の異化と合成のバランスがかなり異化に傾いていて、体蛋白質総量が減少しつつある過程においても、体蛋白異化速度と体蛋白合成速度の差は数%以内にとどまることが知られている。従って、患者の蛋白動態が極端な異化に傾いている状態でないかぎり、nPCRは蛋白摂取量を反映する。
 
 
3.標準化蛋白異化率(nPCR )の求め方
異化された蛋白質は最終的には尿素となる。従って、尿素産生速度とnPCRとの間には一定の数学的関係がある[1]。一方、尿素産生速度は透析前後のBUNから算出される。そこで、尿素産生速度とnPCRの間の関係式を用いることによって、透析前後のBUNからnPCRを求めることができる[2]。
具体的に nPCR を求めるには、日本透析医学会統計調査委員会が提供しているソフトウエアを利用するか、
最近、報告された山本らの式を用いる。山本らの式には、日本透析医学会統計調査委員会が使用している式と同じ値のnPCRが得られる式(体液量を透析後体重の 58% としている)と、尿素動態モデルを解析することにより得られる体液量を用いる式とがある。後者の式により算出した nPCR 値の方がより正確である。
 
 
 
文献
1. Borah MF, et al: Nitrogen balance during intermittent dialysis therapy of uremia. Kidney Int 14: 491, 1978
2. Shinzato T, et al.: Determination of Kt/V and protein catabolic rate using pre- and postdialysis blood urea nitrogen concentrations. Nephron 1994; 67(3): 280-290.