4.8 透析前血清リン・カルシウム濃度と死亡のリスク
1.血清リン・カルシウム濃度と死亡のリスク
一般に血清リン濃度や血清カルシウム濃度は骨代謝の面から議論されることが多い。 しかし、血清リン濃度や血清カルシウム濃度は、異所性石灰化を介して生命予後にも影響を与える。Taniguchi らは、多数の透析患者のデータを解析して、 血清リン濃度と死亡のリスクとの関係および血清補正カルシウム濃度と死亡のリスクとの関係を明らかにした。すなわち、彼らの報告によると、血清リン濃度が高すぎても低すぎても 透析患者の死亡のリスクは上昇する[1]。同様に、血清補正カルシウム濃度が高すぎても低すぎても 透析患者の死亡のリスクは上昇する[1]。
日本透析医学会は、Taniguchi らの報告を受け、2012年版ガイドライン[2]でも2006年版ガイドラインを踏襲して透析前血清リン濃度の管理目標値を 3.5〜6.0 mg/dL、透析前血清補正カルシウム濃度の管理目標値を 8.4〜10.0 mg/dL とした。 日本透析医学会は、さらに二次性副甲状腺機能亢進症の治療の基本は、まず血清リン濃度を適正値にコントロールすることであり、その後に血清カルシウム濃度を適正値に管理すると も勧告し ている。
一般に血清リン濃度や血清カルシウム濃度は骨代謝の面から議論されることが多い。 しかし、血清リン濃度や血清カルシウム濃度は、異所性石灰化を介して生命予後にも影響を与える。Taniguchi らは、多数の透析患者のデータを解析して、 血清リン濃度と死亡のリスクとの関係および血清補正カルシウム濃度と死亡のリスクとの関係を明らかにした。すなわち、彼らの報告によると、血清リン濃度が高すぎても低すぎても 透析患者の死亡のリスクは上昇する[1]。同様に、血清補正カルシウム濃度が高すぎても低すぎても 透析患者の死亡のリスクは上昇する[1]。
日本透析医学会は、Taniguchi らの報告を受け、2012年版ガイドライン[2]でも2006年版ガイドラインを踏襲して透析前血清リン濃度の管理目標値を 3.5〜6.0 mg/dL、透析前血清補正カルシウム濃度の管理目標値を 8.4〜10.0 mg/dL とした。 日本透析医学会は、さらに二次性副甲状腺機能亢進症の治療の基本は、まず血清リン濃度を適正値にコントロールすることであり、その後に血清カルシウム濃度を適正値に管理すると も勧告し ている。
2.血清リン濃度と蛋白摂取量
蛋白摂取量の多い患者では血清リン濃度が高くなる傾向がある。すなわち、nPCRの高い患者では、透析前血清リン濃度が明らかに高い。しかし、nPCRと透析前血清カルシウム濃度との間にはほとんど関係が認められない。
蛋白摂取量の多い患者では血清リン濃度が高くなる傾向がある。すなわち、nPCRの高い患者では、透析前血清リン濃度が明らかに高い。しかし、nPCRと透析前血清カルシウム濃度との間にはほとんど関係が認められない。
文献
1. Taniguchi M, et al: Serum phosphate and calcium should be primarily and consistently controlled in prevalent hemodialysis patients. Ther Apher Dial 17: 221-228, 2013.
2. 第2章血清P,Ca濃度の管理, 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン. 透析会誌45:301-356,2012.